その日、 ページ10
だからこそ、漠然とした不安があったのかもしれない。
まだお互いに「及川先輩」「Aちゃん」と呼び合っていた頃、あからさまに付き合っているということを出していなかったからか、徹くんへの告白は普通にあった。
徹くんはそんなとき決まって「遅くなるから今日は先に帰ってて」と言っていた。
私は何も知らないふりをして「わかりました」なんて言っていたけれど、それが告白が理由だなんてことはとっくに気づいていた。
私は徹くんが告白される時に女の子と二人になるのが嫌で、断ってくれているのはもちろん分かってはいたが、不安でたまらなかったのだ。
もう何度目かの「遅くなるから」という言葉を聞いた時に、泣いてしまった。
「及川先輩がちょっとでも女の子と二人でいるの嫌です。今告白されてるのかなって思いながら一人で帰るの、寂しいです」
素直にそう言ってしまうと、おろおろと慌てながらも「ごめんね」と私を抱きしめてくれた。
それから徹くんはSNSにたくさん私とのことをあげるようになってくれた。
今思えばかなり重たい女だったかもしれないが、彼はそんな私を今でも大切にしてくれている。
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ことり(プロフ) - こむさん» お返事遅れてすみません……! 完結いたしました、素敵、と言っていただけて嬉しいです、ありがとうございます! (2018年10月31日 15時) (レス) id: 5b52149a5f (このIDを非表示/違反報告)
こむ(プロフ) - とても素敵ですね。 (2018年10月24日 21時) (レス) id: 11831258d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ことり | 作成日時:2018年9月22日 0時