ぐっどないと ページ3
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「A」
大好きな声と温かい手のひらに優しく揺さぶられ、ゆっくりと意識が日常へと引き戻された。
ぼやぼやとする視界の中で、優しく笑う徹くんがいた。
額の髪を長い指でどけると、キスをされる。
「ただいま。目は覚めた?眠り姫」
「おかえりなさい……。 うん、起きたよ」
先にお風呂に入ってくると言ったのを聞いて、ご飯を温め直す。抱きしめすぎて、ぬいぐるみがポカポカしていた。
お風呂から上がった徹くんは、テーブルに並べたナポリタンを見て顔を綻ばせた。
サラダもつけてみる。
「やったー! ナポリタンだ!」
「うん、一番外れないと思って」
「ありがとう! 早く食べよ!」
家事は大変じゃないか、と徹くんや友達によく言われる。
そりゃあ大変だ。私もアルバイトと学校があるし。
それでも徹くんがいつもお礼を言ってくれるし、家事も手伝ってくれるから、そんなに苦ではない。
最近ではいかに早くご飯を作れるか記録更新を目指している。
はふはふといっぱいパスタを頬張る徹くんが本当に可愛くて、幼くて。思わず笑ってしまった。
「そんなに急いで食べなくても」
「ごめん美味しくてつい。洗い物はしておくから、今日は早く寝なね」
寝室は別。
疲れているのに万が一私の寝相が悪かった日には徹くんがちゃんと休めないから。
次の日がオフの時なんかは一緒に寝る。
「ありがとう。じゃあお言葉に甘えて」
「うん、お弁当も、気にしないで」
「そうする。私も久しぶりに食堂で食べようかな」
「お、いいね」
朝同様お皿をシンクまで運んで、歯磨きをして、ぬいぐるみを抱き上げる。
「洗い物よろしくね。おやすみなさい」
「まかせて! おやすみ」
うん、今日もいい夢が見られそうだ。
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ことり(プロフ) - こむさん» お返事遅れてすみません……! 完結いたしました、素敵、と言っていただけて嬉しいです、ありがとうございます! (2018年10月31日 15時) (レス) id: 5b52149a5f (このIDを非表示/違反報告)
こむ(プロフ) - とても素敵ですね。 (2018年10月24日 21時) (レス) id: 11831258d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ことり | 作成日時:2018年9月22日 0時