徹くんと私の幸せな日々。 ページ16
重たい瞼を瞬かせ、隣にいる彼がいないことがわかり、朝から拗ねてしまう。
けれどすぐにリビングからいい香りが漂ってきて、朝ごはんだとわかり機嫌は急上昇。
早くリビングに行こうと思いフローリングに足を下ろす、が。
手に違和感を感じ、ベッドについていた自分の手に視線を落とした。
「っ、！」
感極まった私はダッシュでリビングへと行き、お皿を並べる彼に駆け寄って、お皿を置いたのを確認して腕を引いた。
「徹くん！」
「ん、おはよう」
「と、徹くん、あのね、えっとね、ありがとう！」
「……いいの、勝手にその指にしちゃったけど」
違和感の正体は指輪だった。私の好みのデザインのそれは、私の左手薬指にぴったりとはめられていて、本当に夢なんじゃないかと思っていたくらいだ。
勢いよく何度も頷く私を見て優しく微笑んだ徹くんは「食べ終わってから話そうか」と言って、私もそれにまた頷いた。
キラキラと輝く指輪は、たまらなく綺麗で。本当にまだ、信じられない。
ご飯を食べ終えてドキドキしながら四人がけのテーブルに向かい合って座る。徹くんもどこか緊張していた。
「もっとロマンチックな感じにしたかったんだけどさ」
「うん」
「 Aそんな雰囲気にしちゃうと照れて照れておかしなテンションになるかなあと思って」
「否定できない」
「でしょ、だから、驚かせちゃおうと思って」
起きたら左手薬指に指輪、だなんて、誰でも驚く。嬉しすぎるサプライズだ。
「……今すぐなんて言わないよ。俺だってそんな準備できてないし」
「うん」
「でもいずれはそうなるつもりだから、さ」
「うん。私も」
私の左手を取って、そっと指輪を撫でる彼の手にも指輪がはめられていた。
「A、近い未来、俺と結婚してください」
いざ言葉にされると嬉しくてたまらなくなってしまって、ぼろぼろと泣いてしまった。
「Aの涙はあんまり見たくないのにな」と苦笑いしながらも、彼は私の目元を拭ってくれる。
「はい、しますっ」
「っはー、よかった、緊張した……」
「徹くんでも緊張するんだ」
「するよ。大事な話でしょ」
むにっと私の頬をつまむんで私の目を見る徹くんはいつもの彼で、私たちの雰囲気もいつも通りで。
この人と出会うために生まれてきたのではないかと思うくらい、私たちは一緒にいる時間が心地いいのだ。
.
長い間一緒にいて、二人で過ごす日々が当たり前になって、居心地よくなって。
これを、人は幸せと呼ぶのだろう。
終
終わり
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ことり(プロフ) - こむさん» お返事遅れてすみません……！ 完結いたしました、素敵、と言っていただけて嬉しいです、ありがとうございます！ (2018年10月31日 15時) (
レス) id: 5b52149a5f (このIDを非表示/違反報告)
こむ(プロフ) - とても素敵ですね。 (2018年10月24日 21時) (レス) id: 11831258d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ことり
| 作成日時：2018年9月22日 0時
