素敵な日の夜のこと ページ15
.
そんな、世に言うバカップルな会話をした日も過ぎ、私の誕生日がやってくる。
みんなより少し遅い私の誕生日もやってきてしまうなんて、月日が流れるのが本当に早い。もう、二十歳だ。
「明日誕生日かあ。もう二十歳だね」
「うん。ちっちゃい頃思ってた二十歳と全然違う」
「あー、俺もそうだった」
誕生日の前日の晩、いつも通りソファに並んで、録画しておいた音楽番組のスペシャルを見ていた。
誕生日まで残り十分を切っている。
なんだか落ち着かなくて、ココアを入れてくると立ち上がると、私のそわそわした気持ちを察したのか、ついてくることなく徹くんは頷いた。
お揃いのマグカップに、ココアの量、温度を彼好みにして用意する。そこまで分かるほどに、私たちは長く一緒に暮らしてきた。
「はい」
「わ、ありがとう」
残り、二分。
二十歳、高校生から見てもその歳は大人で、若干の憧れを抱いていた。
思い描くような大人にはなれなかったし、まだまだ子供ではあるけれど、その過程の中いつでも隣には徹くんがいた。
残り一分を切る。
「A」
「うん」
壁に掛けてある時計の秒針が、規則正しくまわって、もうすぐてっぺんになる。
「二十歳の誕生日おめでとう、生まれてきてくれてありがとうね」
「うん、今年も一番にお祝いしてくれてありがとう」
いつもよりほんの少しだけ特別な夜。
ベッドの中でプレゼントは明日の朝ね、と言われて、サンタクロースを待つクリスマスの子供みたいにワクワクしながら目を閉じた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 81人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ことり(プロフ) - こむさん» お返事遅れてすみません……！ 完結いたしました、素敵、と言っていただけて嬉しいです、ありがとうございます！ (2018年10月31日 15時) (
レス) id: 5b52149a5f (このIDを非表示/違反報告)
こむ(プロフ) - とても素敵ですね。 (2018年10月24日 21時) (レス) id: 11831258d4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ことり
| 作成日時：2018年9月22日 0時
