毛ほども、ね ページ14
岩泉先輩が帰った夜は、何となく二人で寝ることになった。手を繋ぐ、というよりは、簡単に指を絡めて、ベッドの中に入る。
向かい合う形で布団をかぶると、徹くんの手が頬にかかっていた私の髪をさらりとどけた。その仕草だけで、ときめいてしまう。
「Aはさ」
「うん」
「俺以外の男、そういう目で見ることある？」
あまりにも唐突だったから、一瞬思考が停止する。そのあとすぐに首を横に振った。
「徹くん以外の男の人は毛ほども興味がない」
「ぶはっ、微妙に予想外れた答えが返ってきた」
たまに毒吐くよね、とクスクス笑いながら、徹くんは私の腰を抱き寄せた。ぐっと近くなった距離にドキドキして、まだまだときめきもあるもんだと呑気に思った。
「俺もね、A以外は本当に興味ないんだよね」
「毛ほども？」
「うん、毛ほども」
最近気づいたことは、私は徹くんの雰囲気が一番好きなのかもしれない、ということ。
もちろん見た目も好きだし中身も好きだ。ただタイプではない。正直に言うと、だが。徹くんに言ってしまうと泣いてしまわないか心配になってきた。言わないでおこう。
一緒に過ごしていて気を遣わないなんてことはない。ただ、彼に対して気を遣うことは苦ではないし、彼はそれに気づいてくれる。
彼の周りは時が流れるのが少しゆっくりで、穏やかなのだ。それが心地よさの要因でもある。
イライラすることがあっても徹くんの優しい笑顔と雰囲気で絆されてしまうし、どうでもいいことのように思えてきたりもするのだ。
そういうところは、やっぱり大人だと思う。
一つしか年は違わないけれど、彼は本当に大人だ。
「俺Aのこと好きだよ」
「どうしたの突然」
「言いたくなったの」
「それじゃあ私は大好きだよ」
「それじゃあって何」
「照れてるの」
「自分で言うのそれ」
気分で自分から徹くんにキスすると、「やったなー」とキスし返されて、ムードも何もないこの状態に笑ってしまった。
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ことり(プロフ) - こむさん» お返事遅れてすみません……！ 完結いたしました、素敵、と言っていただけて嬉しいです、ありがとうございます！ (2018年10月31日 15時) (
レス) id: 5b52149a5f (このIDを非表示/違反報告)
こむ(プロフ) - とても素敵ですね。 (2018年10月24日 21時) (レス) id: 11831258d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ことり
| 作成日時：2018年9月22日 0時
