【HQ!!】長身リベロ女顔少年は今日も滑る。

リベロ。 ページ10

リベロとは。


空では戦えない、点を自らの手で獲ることができない、そんなポジションである。


地上の最後の砦、守護神である。



そんな枠からはみ出てしまえ。



黒い髪をなびかせ、なんどもその体をコートの上で滑らす。


低身長の選手が唯一生き残ることができるポジション。


そんなこと、誰が決めた？


どんなリベロより腕が長く、ボールを誰よりも遠くまで拾うことができる。



それは長身リベロの、特権。


ボールを相手のコート内に落とせば自分達の勝ち。


逆も然り。




だが。


「ボールを落とさない限り、負けることはない」



青葉城西に加わった女顔の長身リベロは今日も滑る。


彼一人加わっただけで、こんなにも彼らの高校は強くなった。



たった一人のリベロが。



たかがリベロ、されどリベロ。



リベロには戦う術がないと、誰が言った。


みんなとは違うユニフォームの誇らしさを、守護神の名の誇らしさを、みんな知らないんだ。




ここまであげてきたボールは、もう、数えることはできない。


広い体育館、オレンジコート。


割れるような歓声に、見たことがないほどのわ多くのカメラ、取材陣。


テレビでみた選手、監督。



舞台はできた。できしまった。




「あんた烏野倒したんだってな」



「猫と青葉。なんか変な組み合わせだね」



二人の主将が力強く握手をして。




コインが、宙に舞った。

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