【HQ!!】長身リベロ女顔少年は今日も滑る。

滑走56 ページ18

「お前、及川さん大好きかよ」


「え」


宿泊所に戻ってきて、風呂に入っているときにそう英に言われた。


疲れた体を癒すため、帰るのは明日だ。


こういうとき、私立のありがたみを感じる。


「お前、まっさきに及川さんのとこ行っただろ」


「いや、やっぱ、あの人には感謝してるからさ」


ふぅん、と言いながら英は長い前髪をかきあげる。


白く、綺麗な筋肉の腕を、湯が伝う。


あがる湯気が頬を湿らせて、色っぽかった。


三年二年一年の順に風呂に入って、いまは風呂場に俺と英と金田一しかいない。


「いいチーム、だった。…もうあのチームでバレーできないって思ったら、やっぱ寂しい」


ぽつりとそう言うと、金田一がまだ少し赤い目をまたこすって、前を向いて言った。


「でも俺たちは、先輩たちを超えなきゃいけない」


強気な言葉に、笑みがこぼれた。


「お前にしてはいいこと言うじゃん」


「国見って俺に厳しいよな」


「それが英の愛だろ？」


「ヤメロ」


いいチームだった、本当に。


けれど、これからも青葉城西は続いていく。


このチームはここで終わりだけど、俺たちはまた新しい一歩を踏み出すんだ。


終わりは始まり、まさにその通りだと思う。


「次の新入生にA女子マネって勘違いされないか心配だな」


「おいこら金田一」


「ああ、たしかに」


「英まで……」


そして俺たちは春を待つ。

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