【HQ!!】長身リベロ女顔少年は今日も滑る。

滑走27 ページ35

彼が他のリベロとは違うところは、その身長にある。


長くスラリと伸びた手足。


すばしっこく動くことができる、動体視力、判断力ともにすぐれる、「小さな選手」


リベロは、高身長が否が応でも有利とされるバレーボールという競技で、唯一身長の低いものか生き残れるポジションー…



でも、それは「絶対」ではない。



ある背が低い者は、空に焦がれ、その分ジャンプ力を他のものよりつけて空でたたかう。



ある背が高いものは、レシーブに魅せられ、その大きな一歩で誰よりも広い守備範囲を武器に、地上でたたかう。



ボールの動き、一つ一つから目を離すな。


「前っ」


自分の予想があたったとき、そしてそれを自分のものにできたとき。


この快感は、ほかのどれよりも勝る、俺を昂ぶらせるものだ。


15-16

16-16


「先に一点、落とすな落とすな！」


17-16


一点一点は微かで、しかし重い。


少しずつでも、試合は確実に終わりに近づいていた。


「…終わらなかったらいいのに」


このコートの上でしか味わえない楽しさを、試合でしか味わえない緊張を。


噛み締めていたいんだ。


楽しさ

興奮

快感

高揚

緊張

感動

希望


言い出すときりがない、この鮮やかな感情たちを心満ちるまで感じさせてくれるのは、いつだってバレーで、仲間だった。


20-20



「ラストスパート」




そして獣が牙を剥く。

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