【花巻貴大】▽手の冷たいワタシと▼手の温かいオレの話。

ワタシの話。03 ページ10

「はざーす。あ、先輩」


「おはよ。ん？なに？」


朝、選択しておいたワイピングのタオルを持って体育館へと向かっていると、国見に話しかけられた。


彼は好きだ。
少しお茶目な一面もあって、後輩らしくて。


中学校の頃からそうだった。


「どうしたの？」


「先輩って花巻さんと付き合ってるんですか？」


「……ん？」


いつもの冗談かと思いきや、彼は本気のよう。


「あれ？じゃあ及川さんですか？」


「なんでやねーん」


不思議そうに問う彼の頭を軽くチョップする。


それでも不服そうな顔をしている国見。


「なんだ、絶対どっちかか誰かと付き合ってると思ったのに」


「んなわけないでしょ」


もう一度チョップをすると、暴力反対だと彼は笑いながら言った。


そして二人で話しながら体育館まで行くと、ワッと部員に囲まれる。


なんで。


「先輩」


「ん？」


「今日部活終わったら王様ゲームしましょうよ！」


「はい？」


今日は部活が早めに終わる。


確か、照明やら雨漏りやらの確認、点検をするらしい。


だからだろうか、誰かが王様ゲームをしたいと言い出したらしく、リア充がいるかどうかの確認をしていたらしいのだ。


非リアばっかりなのは分かっていたらしいが、それでも今日参加する人に一人一人聞いたそうだ。


「参加しますよね？」


「……ウィッス」


ああ国見。


私があんたの笑顔に弱いって知っててそんな可愛く笑ってるの？

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