【花巻貴大】▽手の冷たいワタシと▼手の温かいオレの話。

オレとオサナナジミの話。 ページ24

画面が明るくなって、彼からのメッセージを告げる。


及川だ。


{電話していい？}


珍しいな、と思いつつもOKの返事を短く返す。


するとすぐに電話がかかってきた。


「もっしもーし」


《もしもし？もーマッキーほんとやってくれるよね！》


「何のことだよ？」


開口一番に言われたのがそれで、何のことだか本当に分からなかった。


長電話になりそうだな、と思い楽な姿勢を取ると、タイミング良く返事が聞こえる。


《…告白。聞こえてたから》


「…ああ。…聞こえてたんだ。絶対聞こえねぇと思ったのに」


彼らしい真っ直ぐな物言いにふっと笑みが漏れる。


一応ライバル、という間柄なのに、どうしても笑みが零れてしまう。


《ばっちりだよ。金田一なんか顔真っ赤だったよ！》


「金田一ピュアすぎか」


少し笑って、訪れる沈黙。


この先及川が言おうとしているのが何か、わかる気がした。


《ー…返事、まだ来てないよね？マッキーもゆっくり考えて的なこと言ってたし》


「“も”ってことはお前も言ったのな。…まだ来てねぇよ」


《…そっか》


まだお互いきていないのだろう。
彼女のことだ、きっと考えて考えて今頃岩泉にでも電話しているだろう。


「…ま、恨みっこなしな」


《当たり前。ふられても諦めないし》


「俺も」


ぷつりと通話を切って、携帯を放って。


何だか疲れて、そのまま寝た。

オサナナジミの話。07→←ワタシの話。08

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す