検索窓
今日:2 hit、昨日:4 hit、合計:94,886 hit

オレの話。07 ページ22

「A」


「……え!?あ、花」


午後の部活が終わっていつものように部室の外で幼馴染二人を待っているAに声をかける。


すると、いつもは明るい笑顔ですぐに返事をするのに、反応が遅れた。


そっと自然な流れで手を繋ぐと、ビクつく彼女の手。


合わない目と、熱いてのひら。


「ー…どーした、何かあったか」


気になった。


なんで彼女はここまで脈があるような素振りをするのか、なんでここまで。


いつも冷たいはずのてのひらが熱いのか。


「Aー?」


顔を覗き込むと、やっぱり顔が赤くて。


いつも遠慮なく握ってくるくせに、俺の手を握り返している彼女の手は弱くたどたどしかった。


「マジでどうしたんだよ」


ぎゅっと強く手を握ると、Aは小さく声を漏らした。


「ちょ、っと。…なんか、緊張して」


「はい?なんで、……告白とか、された?」


「つ、…うん。…てか花、ここ部室の前!」


「大丈夫。ほら、中うるせぇから」


及川、だろうな。絶対。
そっか、あいつ。


告ったのか。


「あのさ」


「うん?」


ああ、なんか。


いいたい。




「好き」


「え!?あ、えっと、私も好きだよ?」


違う、そうじゃなくて。


そういう好きじゃなくて。


揺れる彼女の瞳は月の光が反射してキラキラとしていた。


「…違う。…こういう意味の好き」


「っ、!」


普通に繋いでいた手の力を緩めて。


指を絡め取る。


恋人繋ぎ。


お互いの手は熱を持ちすぎて熱湯並だった。


「…Aが好き」


また同じ言葉を言う。


けれど、何度言っても伝えきれないくらいにAが好きなんだ。


「…返事、待つからゆっくり考えて?」


「…う、ん」


「じゃあ」


彼女の頭に軽く手をおいて、そのまま家へと帰る。


俺の顔が赤いこと、気づかれてなきゃいいけどな。

ワタシの話。08→←オサナナジミの話。06



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (153 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
139人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

冬夜空(プロフ) - だあああああああ!!可愛すぎる!!面白すぎる!作者様大好きです! (2016年10月29日 21時) (レス) id: 6bace64729 (このIDを非表示/違反報告)
ことり(プロフ) - あっちゃん25さん» あけましておめでとうございます!新年早々こんなに嬉しいコメントをいただけて幸せ者です(*>ω<*)私もいい一年になりそうです!! (2016年1月1日 1時) (レス) id: 36be92faa1 (このIDを非表示/違反報告)
あっちゃん25(プロフ) - 明けましておめでとうございます。年明け早々、一気に読ませていただきました。今年はほっこりした1年になりそうです(笑) (2016年1月1日 1時) (レス) id: 2b4bb6ce14 (このIDを非表示/違反報告)
ことり(プロフ) - *花*♪癒華さん» コメありがとうございます!ほんとに…王様ゲームというかもう大王様ゲームでしたよ…wwありがとうございます、頑張ります! (2015年8月28日 17時) (レス) id: 36be92faa1 (このIDを非表示/違反報告)
ことり(プロフ) - かしゅーなっつさん» お返事遅れてしまい申し訳ありません!素敵だなんて(〃▽〃)ポッどちらも読んでくださったんですね、ありがとうございます!またどこかで…! (2015年8月28日 17時) (レス) id: 36be92faa1 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ことり | 作成日時:2015年4月1日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。