【花巻貴大】▽手の冷たいワタシと▼手の温かいオレの話。

オサナナジミの話。05 ページ19

『じゃーな』


「うん、ごめんね。ありがと」


『ん』


話したのはたった1時間程度。


それでも少し心が軽くなった。


本当に、俺はバカだと思う。


自分勝手に振る舞って、冷たくして。
あんなのただの八つ当たりじゃないか。


彼女は俺のことを心配してわざわざ来てくれたのだ。


それをあんな風に追い返すなんて。


何度思い返しても最低だとしか思えなかった。


『溜め込んでそれをAにぶつけんなら、早く言っちまえ。あいつ傷つけたら殴るぞクソ川』


うん。やっぱりそうだよね。


このまま想いを引きずって、それに振り回されて悪い方向へと行ってしまうのなら。


好きだと、彼女に伝えよう。


「んー…でもやっぱりマッキーかなぁ」


ごろりと寝転がってボールに触れると、頭に思い浮かぶのは仲間のことばかり。
というか、今はマッキーしか出てこないけど。


彼といるときの彼女は幸せそうで。


二人並んだ時の緩やかな時の流れ。
それを見るととても癒された。


悔しいけど、お似合い。


俺がマッキーよりも優っていると自信を持って言えるのはいままで一緒にいた時間だけ。


ああでも、それでも。


好きなんだから、仕方ないか。


ぐっと拳に力を入れて、覚悟をした。

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