王者、吐露 ページ44
サワサワと、少し寒々しい風が火照る体に気持ち良く触れる。
まだ頭はフワフワとしていて、どこかへととんでいってしまいそうなほどだった。
勝った。
県で優勝したことは、あるのに。まるで違う。【仲間】とともに勝つということが、こんなにも嬉しい。
ストレッチをして、少し休んでから帰るらしい。
主将たちは、地元記者のインタビューに答えたりしていた。
ザ、
足音がして、振り返った。
そこには
先ほどまで敵だった、牛島さんがいた。
「お前が欲しかった」
荒い呼吸をしながら、はっきりと牛島さんはそう言った。
ユラユラと揺れる不安定か瞳が、僕の姿を映している。
何かが零れ落ちそうで、零れ落ちない。
それは彼のプライドが許さないのだろうか。
…僕には、関係のないことだけれど。
「…それは、僕の【力】ということでしょう？」
「違う」
即答だった。
あまりにはっきりと欲しいと言われたので、嫌味の一つでも言ってやろうとおもった。けれど、即答だったせいで、動かすことができなかった。
「力だけじゃない。…三村Aというプレイヤーが、欲しかった」
そして、何も言えなくなる。
喋り続ける彼の言葉を、黙って聞くことしかできなかった。
「弱そうに見えて、実は何にも屈しない強い目だとか、姿勢とか。…そんなお前に気づくのが遅かったと、気づいた」
「ー…そうですね。…遅いですよ、牛島さん。僕、力だけじゃないんですよ？」
初めて。
初めて、弱々しい彼を見た。
その大きな体も、何だか小さく見えて。この人が僕をどう思っていたのかを知れて、嬉しかった。
冗談めかした口調でケラケラと笑う僕を見て、ふっと息をもらした彼。
「ふ、はは。…本当だな、お前をもっとしっかり見てれば、お前もウチに来てくれたのかもしれないのにな。…おしいことをした」
笑って、いた。そして彼は頬に綺麗な雫をつたらせていた。きっと、無意識だろうけれど。
「…僕はきっと白鳥沢には入らないだろうけれど、もし入っていたら全国制覇も楽勝ですよ」
「はは、よく言う」
彼は、頬をぬらしていたものに気づいただろうか。
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ことり(プロフ) - 美咲さん» はい！ありがとうございます！ (2016年6月7日 19時) (
レス) id: 805f2a831a (このIDを非表示/違反報告)
美咲(プロフ) - ことりさん» いえいえ(*^▽^*) これからも頑張ってください！Ｏ(≧∇≦)Ｏ (2016年6月7日 18時) (レス) id: 85a429a429 (このIDを非表示/違反報告)
ことり(プロフ) - すみません！これを書いた時は3セットマッチだと勘違いしておりまして…ご指摘ありがとうございます、そして申し訳ありません… (2016年6月6日 22時) (レス) id: 805f2a831a (このIDを非表示/違反報告)
美咲(プロフ) - 白鳥沢戦の最終セットが五セット目ならば点数は15点マッチですよ！もし3セット目ならば五セット目までありますよ！ (2016年6月6日 22時) (レス) id: 85a429a429 (このIDを非表示/違反報告)
ことり(プロフ) - ムギさん» 及川さんたちの心情を上手く表現できていたか心配でしたが、よかったです！時々更新できてなくてすみません。今からします！ (2015年1月26日 21時) (レス) id: 16a917a74e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ことり
| 作成日時：2015年1月9日 23時
