敗北者:考察 ページ37
「始まったな」
「…うん」
今日は当然OFFで、見に行こうと思へば見に行けた試合。
けれど、昨日の今日でそんな気にはなれなかった。
気になるけれど、どうしても足が向かなかった。
「…なんか、虚無感」
岩ちゃんの家で、何をするでもなくぼーっとしているときに、ふと零れた何気ない言葉。
無意識に零れたそれは、昨日の熱を再び思い出させた。
と、同時に。
昨日感じた疑問も思い出す。
「ねぇ岩ちゃん。…聞きたくないなら無視してくれて構わないんだけど」
「なんだよ」
一応そんな風には言うが、彼が自分の言葉を無視することなんてないと分かっている。
「昨日は目の前のことに必死すぎてさ、頭まわらなかったんだけどね。…妖精くん、おかしくない？」
「は？どこかだよ。…むしろ絶好調だったろうが」
「や、そうじゃなくて、さ。……俺もずっとあの子はレシーブだけに特化してるタイプだと思ってたんだけど、どうもそれが違う気がして」
昨日。
確かに感じた違和感を、夜に思い出して。考え出すと、彼のことを考えるのをやめられなかった。
「…オーバーカットか？」
「そう」
頬杖をやめて、頭をがしがしと掻き回す。昨日から考えすぎて、少し頭が痛かった。
「確かにオーバーカットはオーバーってつく割りにはレシーブと重要なポイントが共通してる。けど、やっぱりそれだけじゃあんなに綺麗に飛雄のところには帰らない」
「しかもあんなにオーバーに対して苦手意識を持っていて、オーバーカットが苦手だったのに。あいつは急にそれができるようになった」
やはり長い間幼馴染を続けていただけはある。言いたいことの続きを、岩ちゃんはスラスラと言ってくれる。
「確かに妖精くんはレシーブに特化してる。これは間違いない。…けど。それ以外のプレーが、あんなにからっきしな訳が無い。じゃないと昨日急にオーバーカットができるようになった説明がつかない」
「てことはだ。あいつ本当はなんでも最低人並みににはできるはず…？」
「…だと、思うよ。あんな反射するくらいの脚力あるくせにとべないってのも変な話」
「…マイナスな思い込み…しかも時間が経ってりゃ余計できねぇわな、そりゃ」
「…あの子の羽をむしりとるような真似したおバカさんは誰だろうね」
もっとも、彼自身が早く自身の可能性を分かればいいのだが。
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ことり(プロフ) - 美咲さん» はい！ありがとうございます！ (2016年6月7日 19時) (
レス) id: 805f2a831a (このIDを非表示/違反報告)
美咲(プロフ) - ことりさん» いえいえ(*^▽^*) これからも頑張ってください！Ｏ(≧∇≦)Ｏ (2016年6月7日 18時) (レス) id: 85a429a429 (このIDを非表示/違反報告)
ことり(プロフ) - すみません！これを書いた時は3セットマッチだと勘違いしておりまして…ご指摘ありがとうございます、そして申し訳ありません… (2016年6月6日 22時) (レス) id: 805f2a831a (このIDを非表示/違反報告)
美咲(プロフ) - 白鳥沢戦の最終セットが五セット目ならば点数は15点マッチですよ！もし3セット目ならば五セット目までありますよ！ (2016年6月6日 22時) (レス) id: 85a429a429 (このIDを非表示/違反報告)
ことり(プロフ) - ムギさん» 及川さんたちの心情を上手く表現できていたか心配でしたが、よかったです！時々更新できてなくてすみません。今からします！ (2015年1月26日 21時) (レス) id: 16a917a74e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ことり
| 作成日時：2015年1月9日 23時
