【HQ!!】天才リベロ美少年は今日も逃走中。第二幕

逃走29 ページ33

バスに乗って、会場について。


最近ずっと嗅いできた会場独特の匂いを吸って、吐く。


「開館までアップとミーティング！」


「オスッ」


鞄をひとつの場所にまとめて、ストレッチをする。


「「トイレ行ってきていいですか」」


本格的なアップが始まる前に、そう声をあげると飛雄とかぶった。


「ああ、わかった」


主将に言ってから、飛雄とならんでトイレへと向かう。


サワサワと肌寒い風をあび、ぶるりと身震いをした。


「さみーな」


「な。アップちゃんとせな体動かんわー」


ケラケラ意味もなく笑いながら、ポケットに手を突っ込んで歩く。トイレは数が少ないからか、数人ならんでいるようだった。


二人顔を見合わして小さくため息を吐いた。


「……カゲヤマ、と三村か」


「「！？」」


やれやれと並んでいると、いきなり聞こえた声。不意なそれに、ビクリと肩がはねた。


「……牛島さん」


「俺県No.1ですか！！！」


「…昨日、及川が。……いや、やめておこう。……とにかく、勝つのはウチだ」


言葉を変なところで濁した牛島さんに、何か言いたげな顔をする飛雄。一発軽くデコピンをお見舞いしておくて、んぬん、と呟き黙っていた。


「そーですか。その言葉そっくりそのままお返ししますよ」

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