逃走18 ページ21
「蛍」
「A。…はよ」
「おはよ、忠と一緒じゃないんやな」
見慣れた金髪が高校への道のりを歩いていて。
彼じゃないかと声をかけると、そうだった。
隣はいつも忠の姿があるのに、ガラ空きで。何と無く気になった。
「なんか走って行くってさ。…てかいつも一緒みたいな言い方しないでよ」
「ははっ、ごめんて」
片手だけ顔の前に上げて、謝る。
ケラケラと一人笑って、蛍の隣を歩いていると、怪訝な顔で見られた。
「…なんか楽しそうだね。緊張とかしないの君」
そうやって言う蛍だっていつも通りで。
なんだか変な気がしてならなかった。
蛍こそ、と言うとまた何か言われるだろうから、言わないが。
「緊張せぇへんわけじゃないで。そりゃ人並みにはする。…けど、それより楽しみって感じの方が大きいから」
ぶわ、
肌寒い風が頬を撫でる。
それが、蛍の綺麗な短髪を揺らして。
それを見て、心が妙に落ち着いた。
「天才ってみんなそうなの」
「天才だろーがなんだろーが、試合を楽しいと思う人はおるよ。…蛍、そんなに他人のこと気にせんでえんとちゃう?」
「何が言いたいの?」
パチリ、顔を合わせていたのに、その時初めて彼と目が合った気がした。
「僕から見たら蛍はすごいブロックできてて羨ましいって思うときあるし。欲しいもの、感じるものは人それぞれ。天才だとかいう言葉で一括りにしたらあかんよ」
少し説教のようになってしまった。
ほんの数秒の沈黙のあと、空気の抜ける音がする。
「は、ははっ。なんか君、時々先生みたいなこというよね」
「なっ何よ!僕はまだ若いっちゅーねん!」
「必死すぎデショ。…変なの」
そのあと、本当に聞こえるか聞こえないかぐらいの声で。
ありがとう
と、蛍がそう言ったような気がした。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
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ことり(プロフ) - 美咲さん» はい!ありがとうございます! (2016年6月7日 19時) (レス) id: 805f2a831a (このIDを非表示/違反報告)
美咲(プロフ) - ことりさん» いえいえ(*^▽^*) これからも頑張ってください!O(≧∇≦)O (2016年6月7日 18時) (レス) id: 85a429a429 (このIDを非表示/違反報告)
ことり(プロフ) - すみません!これを書いた時は3セットマッチだと勘違いしておりまして…ご指摘ありがとうございます、そして申し訳ありません… (2016年6月6日 22時) (レス) id: 805f2a831a (このIDを非表示/違反報告)
美咲(プロフ) - 白鳥沢戦の最終セットが五セット目ならば点数は15点マッチですよ!もし3セット目ならば五セット目までありますよ! (2016年6月6日 22時) (レス) id: 85a429a429 (このIDを非表示/違反報告)
ことり(プロフ) - ムギさん» 及川さんたちの心情を上手く表現できていたか心配でしたが、よかったです!時々更新できてなくてすみません。今からします! (2015年1月26日 21時) (レス) id: 16a917a74e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ことり | 作成日時:2015年1月9日 23時