【HQ!!】天才リベロ美少年は今日も逃走中。

逃走18 ページ28

名前を呼ばれ、振り返る。


今日は午前中練習試合で、午後からは点検のようなものがあるらしく、もう帰り支度をして終えたところだった。


俺だけでなく、まわりも声のした方に顔を向ける。


「三村…」


そこには、彼がいた。


「…あ、みなさんも、こんにちは」


「お、おお。…見に来てたのか」


「はい。影山に誘われてて。…それで…今からお時間とかありますか？」


少し遠慮がちに、薄く笑いながら首を傾げる。


いつも寂しげな笑顔は、今日はなんだか違う気がした。


「どうかしたのか？」


「…僕の、中学の頃の話を聞いて欲しいんです。…ここに、入部したいから」


今度は、まっすぐ前を向く。


しっかりした意思をともした目は、俺たち全員に向けられていた。


「俺はいいっすよ！」


一番に声をあげたのは、西谷さんだった。


わざわざ手をあげて、ピョンピョンとジャンプをしている。


それを火種に、次々と声があがる。


「…じゃあ、部活のことだし。烏養さんと武田先生も呼ぼう。お前が入部したいから話をきいてくれって言ったらすっとんでくるぞ？」


明るい笑い声を交えながら、主将が言う。


「…あっ、ありがとうございます…！」


本当に嬉しそうに、三村が笑って言った。

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