【HQ!!】天才リベロ美少年は今日も逃走中。

逃走−04 ページ19

リベロは、僕は、飛べない。


けれど、翼がない代わりに、羽がない代わりに、来るボール全てそこに届けるから。


あいつかあげたボールは、翼を持つものたちのエネルギーになって。


点が、こちらに入る。


大好きな仲間のプレーの源になれる、それだけで僕は幸せだから。


だから、『誰が入っても一緒』だとか、絶対に言わなでくれ。


僕にとって唯一無二の仲間だったお前たちにとって、僕らは唯一無二の仲間ではなくて。


それが、どれだけ苦しいか。


僕は、天才だとか、変な異名だとか、そんな肩書きが欲しいわけじゃない。


僕はこのチームのリベロでいたかったんだ。


でも、それも、もう、おわり。


バレーボールはチームで戦う。


点を取る上で必要ない人なんていないし、そのプレーをするなら誰だって言い訳じゃない。


技術だって大切だ。


けれど、勝つためには。


強いだけじゃ、ダメなんだ。


「全国やー！！！」


「よっしゃ！！俺らが、県の一位なんや！」


そんなことも忘れてしまったチームが。


僕たちが。


県の代表として、全国の大舞台に立ってもいいのだろうか。






結局、僕らは全国で優勝できなかった。


準々決勝で負けた僕らの終わり方は。





ラストボールをお見合いし、相手コートに返せなかったというものだった。

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