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とある記憶 ページ11

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2017年12月24日


「最後になにか、言い残すことはあるか?」

忘れもしない、あの瞬間を。傑に手を下した瞬間を。

最後、僕の言葉を傑に告げると「最後くらい呪いの言葉を吐けよ」傑は笑っていた。昔、まだ僕の隣にいた時と同じ笑顔で。
僕はもう一度同じ問いを、傑の腕の中で同じように息絶えそうなもう一人の呪詛師に問い掛ける。

「■■、なにか言い残すことはあるか?」

反応を示した■■は僕を睨みつけた。もう今の状況では僕に噛み付くことすら出来ないだろうに、下唇を悔しそうに噛み締めた■■は僕に向かって言葉を吐き捨てる。

「…………おまえ、は、許さない」
「……本っ当に最後まで可愛げがないなぁ、お前は」

■■は僕の元同期であり、元呪術師。傑と共に姿を消し、その消した理由は僕も他の誰も知らない。

​__硝子がどれ程お前に会いたがっていたことか知る由もないんだろうね。

離反して間もない頃に僕や硝子の前に姿を見せた傑とは違い、■■は全くの音沙汰無し。■■のせいで硝子が一日に吸うタバコの量、どれだけ増えたのか想像出来る?? ■■が嫌いだからって理由で控えてた位なのにさ……お前が思うよりもずっと、硝子はお前のこと好きなんだよ。

「■■の最後の言葉はそれでいいのか?」
「気や……く……なま……えで呼ぶな……気に触る」

「許さない」ねえ、ソレ何に対しての言葉?? ■■は僕の事をずっと嫌っていたけど、反応からしてみるに今も嫌いなんだろうね。理由なんて知らないし、別に知らなくてもいいかな。傑には名前呼び許可した癖に僕には永遠に名前で呼ぶなって怒るなんてさ……ほんと生意気な奴。

僕に威嚇する■■に、もういい。そう言うかのように傑が■■の頭をクシャりと撫でると、■■は僕を睨むのをやめて大人しく目を閉じた。



まるで眠っているかのように穏やかな表情で二人は最期を迎えた。傑の腕の中にいる■■は、気の所為かもしれないけど微笑んでいるような気がして。

__妬けるなあ

傑に思われてずっと大事にされていた■■にも、ずっと一番だと認められて■■に傍に身を置くことを許されていた傑にも。
■■には恋愛感情は疎か特別な感情なんて一切持ち合わせていなかった僕だけど、それでも......

真冬の夜空と灰を混ぜて溶かしたかのようなブルーグレーの■■の瞳に、たった一度でも構わないから僕のことを映してくれたら____なんて、冗談でも思わないけどさ。

__まあ、二人そっちで一緒に待っていなよ

「来世で」なんて言うのは僕のキャラじゃないけど、お前らにはすぐにでも会えるような、そんな気がするんだよね。

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設定タグ:呪術廻戦 , 現パロ , 夏油傑   
作品ジャンル:恋愛
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作成日時:2023年10月4日 16時

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