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私は平穏を誰よりも求めている。
人から注目されることがそもそも好きでは無いし、騒がしい場所や人が多い場所は昔から苦手で好き好んで足を運ぼうとはしない。
好きな人だとか恋人だとかも必要なくて、ただただ平穏に過ごせればそれで良かったのに。
教室でも、学食でも、嫌でも耳に入ってくるよく話題に持ち上げられる人がいる。『ゴジョウ』さんと『ゲトウ』さん。イケメンだとか、カッコイイだとか、ご飯に行きたいだとか、彼女の有無とか。
興味が無いので顔も知らないけど、どうやら『ゲトウ』さんの方とは取っている講義が被っているらしい。
通りで講義の開始前と終了後に女子がきゃあきゃあと騒がしかった訳だ、納得が行く。
そんな女子から大人気のゲトウさんのせいで、私の『静かに学生生活を送る』という考えが根本から崩され始めることとなる。
「キミは猫舌だからゆっくりお食べ」
「酸っぱいものは今でも嫌いかい?」
「ふふ、耳が弱いところは変わってないなぁ」
「私の手、好きだろう?」
「…………なんで私がキミの好みを知っているのか凄く不思議って顔をしているね。前世で私たちは恋人同士でそれ以上でもあったのだから、知っていても不思議じゃないだろう?」
女子に人気のゲトウさんは、前世とか持ち出すヤバい人だった。
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作者名:愛 | 作者ホームページ:https://marshmallow-qa.com/dear_utsuk?utm_medium=url_text&utm_source=pro...
作成日時:2023年10月4日 16時