甘い悪魔に注意報 【吸血鬼】【歌い手】

blood 1 ページ3

ここ、紅華学園高等部は特別科と普通科に分かれている。





普段は別校舎にいる特別科の生徒だけど、教科によっては同じ校舎を共同で使うこともある。


その入れ替えの時間になると、校舎の入り口には普通科の生徒(主に女子)が溢れかえる。




その訳は。





貴方「あぁ〜もう、下がって下がって！」




特別科の生徒が美男子揃いだから。




まふ「みんなおはよー！」



そらる「うるさい」





その女子生徒を押さえるのが、私風紀委員の仕事のひとつでもある。



でも流石に一人でやるのは、きつい。





貴方「あっ、ちょっと先行かないで！」




確かにイケメンだけど落ち着け。





「そらる先輩ー！！！」



「luzくんかっこいい……ﾌﾗｯ」



あまりのイケメン顔に倒れる生徒もしばしば。




貴方「押さないで、って」



あまりの勢いに躓いてしまい、来る衝撃に目を閉じた。





あ、あれ。



痛みを感じず目を開けると。





そらる「大丈夫？風紀委員さん」





げっ、生徒会長。





貴方「すいません、ありがとうございます！」





うっ、女子からの視線が痛い。





そらる「頑張りすぎないでね」



ぽんぽんと頭を撫でられ縮こまる。





去っていった一ノ瀬先輩を横目に、増え続ける女子生徒を押さえる。









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貴方「学園長！！」


バンッと力任せに学園長室と書かれた扉を開ける。




「わぁ、どうしたの」




学園長と呼ぶには若すぎるこの人は。


数年前に行き場の無かった私を拾ってくれた義理の父親。



だから本名は伊東Aってことになってるけど、学園長の娘ってバレたら色々噂されかねないので偽名である(人1)と名乗ってる。




貴方「風紀委員の頭数揃えてください！私一人じゃ無理ですって！」




伊東「いやー、でも秘密を知られるわけにもいかないからさー。頑張って！」



他人事みたいにこの人は。





貴方「そんな事言ったって…」



普通科の一般生徒が知らない秘密。

それは特別科の生徒は全員吸血鬼ということ。




風紀委員というのは仮の姿で、本当は特別科の秘密を守るガーディアンみたいなもの。




伊東「知ってると思うけど、はるかな歴史の隅で人間と吸血鬼の闘争は続いてきた。」



貴方「何回も聞きましたよ、その話」




伊東「しかもその事実を知るのはほんの一握り。その吸血鬼と人間の共存を望んでいるんだよ僕は。」

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