登坂の娘 (ページ2)

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ｰAside

広臣さんがお風呂から上がってきた。

タオルで髪を拭きながら椅子に座る。

広臣「あー、疲れた。」

A「お疲れさま。」

広臣「お、さんきゅ。」

日本酒を注ぐと、広臣さんは一息に飲み干した。

広臣「あー。」

A「お仕事、忙しいの？」

広臣「まぁ。
来年はPERFECT YEARだしなぁ。」

A「そっか。」

広臣「カウントダウンライブ、来ねえの？」

A「だってまだ18じゃないもん。」

広臣「あ、そっか。」

A「そ。家で見とくよ。」

広臣「ライブ終わったらすぐ帰って来るから。」

A「別にいいよ。」

広臣「なに、俺に会いたくないの？」

A「じゃなくて！
広臣さんの身体が心配なの。
すぐじゃなくていいよ。
福岡で美味しいもの食べて、ゆっくり身体休めてきて。」

広臣「はいはい。
そうだ、お土産何がいい？」

A「なんでも。
広臣さんがゆっくり休んできてくれたらそれでいい。」

傍から見たらカップルとしか思えないような会話を繰り広げる私と広臣さん。

広臣「ていうか、お前いつまで経っても広臣さんなのな。」

A「ん？」

広臣「お父さん、って呼んでくれていいのに。」

A「だって広臣さん、お父さんって年齢じゃないじゃない。
私と15歳しか違わないんだから。」

広臣「まあな。」

笑いながら日本酒を口に運ぶ広臣さん。

広臣「お前そろそろ寝ろよ。
明日も学校だろ？」

A「明日は休みだよ。」

広臣「え、なんで？」

A「創立記念日。」

広臣「そうだっけ？
なんか予定あんの？」

A「特に無いけど。」

広臣「んじゃ、仕事着いて来るか？」

A「えっ、いいの？」

広臣「いいよ、おいで。」

A「うん、行く。
明日は何の仕事？」

広臣「つってもライブのリハだけどな。
お前、セットリストとか学校で言うなよ。」

A「言わないよ。」

そう言うと、広臣さんは笑って私の髪をクシャクシャに撫でた。

広臣「明日早いんだから、お子ちゃまはさっさと寝ろよ？」

A「な…っ、お子ちゃまじゃないもん！」

広臣「どうだか。」

A「〜っ、広臣さんのバカ！
もう寝る！」

広臣「はいはい、おやすみ。」

私は筆箱とノートを乱暴に鞄に突っ込むとリビングを出て寝室へ向かった。