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ユリオside
「分っかんねぇなぁ………」
あれからいざ練習。ヴィクトルは俺と勇利を交互に教えてくれた。
俺はアガペーを、カツ丼はエ ロスを。
Aはまだ曲が決まってない、というよりも今シーズンのことで迷っているようだった。
ジャンプは言わずもがな完璧。6時間練習で、1度もジャンプを外さなかった。
しかし、問題なのが……ジャンプ以外の技術、ステップシークエンスエレメンツやスピンエレメンツだ。
ステップやスピンはそれぞれいくつかの技術種類があり、その中で5段階のレベル点数がつく。
その5段階は、レベルベース、レベル1、2、3、4の5つ。
Aが出来るのは、両方とも低難度、さらにレベルは2。
ジャンプが出来ても、ステップやスピンが出来ないと高得点にはならないのである。
リズム力はあるほうだ。体力も女にしては持ち合わせている。
こんなにいい条件がそろって、どうして……
「おい、カツ丼。Aのグランプリシリーズの動画ねぇのか」
「え、あるけど………見る、の?」
「あぁ」
「そう……」
「………?」
渋々といった様子で、勇利はリモコンを握る。
もう半年も前になる録画を遡って、Aが映る場面を流した。
華やかな衣装を纏って、綺麗にあしらった化粧と、上げた前髪。落ち着いている今より、少しだけ幼く見えた。
「……は……、?」
そしてその動画を見た俺は、唖然とするだけとなる。
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作者名:萌菜 | 作成日時:2016年12月9日 17時