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「……ピチットくん!」




「わぁ、A!久しぶりだね!」





さすがと言えるほどの手早さで、私の肩に腕を回してツーショット。ピチットくんとは勇利を通じて良くなった仲だ。




「初戦のアメリカ大会で会えるなんて嬉しいよ!勇利と戦えないのは残念だけど、中国大会で会えるしね!」



「うん!ピチットくん、勇利のフリーの曲探すの手伝ってくれたんだよね。すごく感謝してたよ」




「そんな!僕は大切な友達にいい曲を滑ってもらいたかっただけだよ」




相変わらず素直で優しいなあ、と微笑む。ひとつ上の彼はいつも笑顔で、アジア選手の中でも顔立ちが華やかに見える。



私の数少ないスケート友達の、ひとり。




「今年は勇利やヴィクトルとも練習したんでしょ?Aの上達ぶりが楽しみだよ」




「ピチットくんも、デトロイトから拠点を移して頑張ってたよね!確か、元勇利のコーチの……」



「チャオチャオ!昔はJJのことも教えてたみたいだし、すごく良いコーチだよ。それに今回は、僕がどうしてもやりたかった曲がやれるんだ」



「ふふ、楽しみだな」



本番前なのに、こんなに和やかな気分にさせてくれるピチットくんと一緒でよかったと、心から思う。



今回は落ち着いた気持ちで滑れそう。だって、ピチットくんが演技中近くで応援してくれるみたいだし、コーチもいるし。





「じゃあ、行こっか!お互い、グランプリファイナルで会えますように!」

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作者名:萌菜 | 作成日時:2016年12月9日 17時

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