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ユリオside



「……チッ」




携帯を放り投げて、猫と共にベッドに寝転ぶ。右手を目の上にぱしんと音がするくらい強く覆った。





「何やってんだ、俺は………」





忙しいことも、もちろん事実だ。最近は練習で疲れて風呂に入ったらそのまま寝ることがよくある。



慣れないヤコフとリリアとの生活。思い通りに動かない体。リリアとプリマを目指して体も魂も何でも捧げると誓ったが、まだ発展途上の俺は体力すらもたない。




追求している美についても考えれば考えるほど遠ざかっていく気がして、ただただ焦る。




みっともない。ユーリ・プリセツキーらしくない。こんな姿、誰にも見せられない。




しかも、このごちゃごちゃした思いを、最悪な形でAにぶつけた。単にガキがやる八つ当たりだ。きっと失望させただろう。




周りには、何でもないように振舞ってきた。ヤコフたちにはもちろん、リンクメイトのミラや、じいちゃんにも。今地方大会を突破して喜んでるAにも同じようにするつもりだった。




けれど言ってしまった。溢れ出たように、そして情けない涙と共に。人前で泣いたことなんか、今までなかったのに。これじゃトイレで泣いていたカツ丼と一緒だ。





コツコツと実力を発揮していくA。追いついてみろなんて言ったくせに、これじゃ俺の方が置き去りにされている。




嫌だ。俺だけなのは、寂しいんだ。




今謝らないと、終わってしまうかもしれない。それでも俺はもう1度携帯を開く気にすらならなくて、枕に顔を埋めた。



今だけ、本当に今だけ。流しきってしまおう、と静かに雫を零した。

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作者名:萌菜 | 作成日時:2016年12月9日 17時

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