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このリンクの中に、紹介したいやつがいるそうだ。
俺の会ったことない選手だという。
「…リンクメイト?」
「うん。昔引っ越して疎遠だったんだけど、最近こっちに戻ってきたんだ。ユリオがロシアに帰ったすぐ後に」
「ふーん。で?そいつは上手いのか?名前は?」
「秋津 A。4つ下だから、19歳かな」
「…聞いたことねぇ」
「うん、世界には1度しか出たことないからね。グランプリファイナルまでは行ったことないかな」
「…はっ、そんな弱い女なんざ興味ねぇよ。俺は練習しにはるばるロシアから来たんだ」
「まあ、見ててみなって」
そうっと扉を開ける。氷上には、Aと呼ばれるらしき女がひとり滑っていた。
「うん、上手くなったなぁ」
「(………下手じゃね?これ)」
のほほんと笑顔で女を見つめる勇利。俺はただ眉間にシワを寄せるばかりだった。
ステップがぎこちない。表情も固い。なんだこりゃ。これのどこが………
「…あ、ユリオ。くるよ」
「あ?」
ザッ
氷を蹴って、舞う。
くるくると美しいラインで、高く、そしてジャンプ後とは思えないくらい静かに穏やかに着地。
「……は、ぁぁぁあああ?!!」
…なんだ、なんだこの女。
昨日今日で、俺はどれだけ叫ばなければならないんだ。
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作者名:萌菜 | 作成日時:2016年12月9日 17時