【YOI】Lonely fairies 【ユーリ・プリセツキー】 (ページ27)

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(コーチの名前を設定して下さい)
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『もしもし、Aです。久しぶりだね』

１ヶ月ぶりくらいのAの声だ。耳に携帯をあてながらどんどん俺の顔が緩むのが分かる。

「全然連絡来ねえから、生きてるのか心配だったぞちび犬。せめてLINEくらいしろ」

『だ、だって特に言うことなかったし、ユリオも忙しいと思って…』

「…別にいつもくれたって構わねぇっての」

そこまで時差があるわけじゃないし、夜は普通に暇をしているのだ。

…なら俺が連絡しろって話。生憎俺は女友達どころか男の友達がいないから、どのようにすればいいのか分からない。15にもなって。

『でね、報告があるの。なんと、コーチが就くことになったんだ！』

「へぇ。どんな？」

『綺麗できらきらしてて、元選手だった人。サキココーチって言うの。その人にお墨付き貰えて、今度全日本選手権大会に向けて地方大会に出るよ！勇利と一緒にね』

電話越しにでも伝わるくらい、いきいきと話すA。スケートを諦めかけていたAがもう１度スケートをしてくれるなら、俺だって嬉しい。

「つーことは、フリーの曲も決まったんだな？」

『うん！』

「何の曲？」

『……内緒、かな』

お楽しみだよ、とAは笑う。これは意地でも教えてくれないだろうなと俺は諦めて、世界大会まで待つことにした。

「俺も、新しい指導者が就いたんだ。ヤコフと一緒に教わってる」

『へぇ、そうなんだ。ユリオももっと強くなるね！』

「すっげぇ厳しいぜ。吐くかと思ったし、さすがはヤコフの元……いや何でもない。とにかく口うるさいババア」

『ダメだよそんなこと言っちゃ。せっかく教わってるんだし、ロシア人ってみんな綺麗な顔してるし。私憧れるなぁ。あ、もちろんユリオもね』

突然の褒めにボンッと顔を赤くした瞬間、熱が伝わってショートしたかのように通話が切れた。俺の携帯の充電がなくなったようだ。

「はぁ………」

たった１０分話しただけで、蘇るように精気がみなぎる。不思議だ。

「(パワーの源？魔法？よく分かんねぇけど、とにかく)」

声を聞くだけで、嬉しい。

明日は失敗してばかりの４回転フリップが、成功しそうな気がするくらい。