【YOI】Lonely fairies 【ユーリ・プリセツキー】 (ページ23)

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ユリオside

『ユーリ、随分楽しんでるそうだな。…その声はヴィーチャとユウリ・カツキか』

「…今は夜で練習時間外だし別にこれくらいいいだろ」

ヤコフからの着信。後ろで踊り狂うオッサンたちの声を聞いて不機嫌そうにするヤコフの顔が容易に想像できた。

『練習は真面目にやったんだろうな』

「うん」

『明日で帰国だ。空港までは迎えに行けないが、私の腰もだいぶ治った。明日からシニア戦に向けて猛練習だぞ』

「…あぁ」

『…どうした。日本で何か特別な思い出でも出来たか』

「別に何でもねーよ。切るぞ、じゃあな」

10日なんて長くてあっという間だった。前は感じなかったけど、帰りたくねぇな、なんて思ってる。

日本は治安が良くて、ロシアより暖かくて、外人の俺にも優しく接してくれる。カツ丼は美味いし、服のセンスもいいし、オンセンも最高だし。

ここへ来る度、新しい出会いと発見がある。

「…って、やけに静かだと思ったら寝てんのかよ」

ただでさえ狭い部屋で、身長170と180以上ある大きな男２人が大の字になって眠っていた。

時刻は11時半。ゆーとぴあかつきも閉店して、宿泊客も就寝しているころだ。

「…Aも寝てんの？お前家は？」

「起きてま……ふ……。ゆりお、ロシア語…でんわ？」

「あぁ、ヤコフと……ってお前もしかして酔ってんのか？！酒の臭いで？！」

「おかしいなぁ、おとーさんはお酒つよいのに……」

ふらっと頭を傾けて、俺の胸に収まった。頬は赤いし、目も虚ろだし、どう見ても酔ってる。

「(こんな時間じゃ俺が家まで送っても……しかもここで寝てたら風邪ひくし……)」

こんな酔っ払った男どもと一緒に寝かせとくのも、気が引ける。

頭を抱え悩むこと数分。きっと他の部屋も空いてないだろう。

「…おい、移動するぞ。立てるか？」

眠そうにとろんとした目元に軽くでこぴんをしてから、腕を巻き付けさせて立ち上がらせる。

「(大丈夫か…？………………俺が)」

連れて行った先は、隔てた扉の向こうの、俺の借りている部屋。