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Aside




まさか、まさかそんなこと言ってくれるなんて。




もう時間も経って吹っ切れたと思ったのに、彼の言葉に不覚にもうるっとしてしまう。




くしゃくしゃと不器用に撫でられた手が、意外にも優しくて、あたたかくて。





年下なのに、顔を胸に埋めて頼ってしまいそうになる。






「(また………笑った、なぁ)」





さっき見た微笑みが、忘れられない。





なんであんなに、苦しい立場にいるのに、綺麗なんだろう。私は目を細めて、じっと見つめてた。




しばらくお互い黙っていると、急に入口のドアが開いた。




「…あ、いたいた。早いね2人とも」




「勇利!」




「おはよう、A」




すっとユーリ・プリセツキーの元を離れて、勇利に向かって滑る。




隣には、少し眠そうなヴィクトルの姿もあった。




「〜〜〜〜っ!」





「…ねぇ、何かあったの、A。ユリオ、なんかすごい顔してるんだけど………」




勇利は汗をたらたらと流しながら、人差し指でさす。後ろを振り返ると、さっきと一変してものすごい凶悪な顔したユーリがわなわなと震えていた。




「…っオイちび犬!!!てめぇ紛らわしいんだよ!!カツ丼のことを嬉しそうに な、名前で呼んでんじゃねぇ!!」




「ぴゃっ?!は、はい!!」





「あと敬語!!それもやめろ、なんかイライラする」




ロシアンヤンキーのユーリ……いや、ユリオを怒らせてはいけない。ひとつ学んだ。





「素直に仲良くしようって言えばいいのに……ねぇ、ヴィクトル」




後ろでコソコソと話す勇利たちの声が聞こえたような、聞こえなかったような。

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作者名:萌菜 | 作成日時:2016年12月9日 17時

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