人生の終幕 ページ2
あれから1時間経ったところか。
ギシ、という廊下の音で目が覚めた。
もともと今夜は寝付きが悪かったから、仕方ない。体制を整えて、また瞼を閉じる。
すると襖を隔てた向こうから、男女の声が聞こえた。
「…鶴丸さんを、怒らせてしまいました」
「気に病まないで、主。明日にはきっと大丈夫さ」
燭台切と、主。近侍の長谷部は酔いつぶれたのか、この場にはいないようだった。
「鶴さん、きっと妬いていたんだよ。あんな鶴さん、初めて見たなぁ」
「でも……嫌われてないでしょうか」
「僕は長いこと鶴さんと一緒にいるし、鶴さんのことはよく分かっているつもりだよ。彼が主を嫌ってるなんてこと、有り得ない」
その言葉を聞いて、喉がヒュッと鳴る音がした。同時に鼻を啜る音も。
「わ、たし……鶴丸さんのこと、好きだから、」
「うん」
「嫌われたくないから……やっと、私のことを女として見てくれたから、」
「…うん」
「だから……明日、きちんと謝ります。まだ怒ってるかもしれないけど、ちゃんと、自分の気持ちを」
「うん。伝えておいで。きっと上手くいく」
その会話だけ聞いて、2人は廊下を過ぎ去って行った。
俺は布団の中で丸まって、顔を綻ばせる。
明日、1番に主に会いに行こう。
謝って、抱きしめて。手を繋いで大広間に顔を出して。
そう思うと、心地よく眠りに入れた。
愛しい主。
……今夜も、きみの夢を見たよ。
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萌菜(プロフ) - 凪花さん» ありがとうございます(^-^)遅れてしまい本当にすみません>_< (2018年2月24日 18時) (レス) id: dc0cd12c91 (このIDを非表示/違反報告)
凪花(プロフ) - 続きが気になります!頑張って下さい!応援してます! (2018年2月2日 16時) (レス) id: 254f4e5b63 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:萌菜 | 作成日時:2017年12月8日 11時