秘密の関係 月岡紬 ページ7
夜遅く、談話室のソファで監督が横になって眠っていた。
「監督、そんなところで寝たら風邪……」
「ん〜……?」
俺が声をかけても、僅かに身じろぐだけで目は開かない。部屋まで運ぼうかと監督の肩に触れた時、ようやく彼女は目を覚ました。
「……つむぎ、さん?」
「はい。監督、ここじゃなくて部屋で…」
「…ふふ、つむぎさんが寮で私にさわってくれた……夢みたい」
「え?」
目はとろんと眠たげに、声は呂律が回っていない。まだ寝惚けているようだ。
その前に、この人は今何と言ったのだろうか。
「つむぎさん、お付き合いがバレちゃだめって言うから…隠すの、いやだけど……」
「監督…?」
「だから、がんばって避けてた、けど……つむぎさんからここでさわってくれるなんて……めいせきむってやつかな」
明晰夢。それは夢の中で夢だと自覚していることだ。
「…夢じゃないですよ、Aさん」
俺は気づいたら、その愛しい彼女の唇に自分のそれを合わせていた。
早く起きてください。目が覚めたら、たっぷり甘やかしてあげます。
いつか俺たちの関係を自信もって言えるように、俺も頑張りますから。
ラッキーシーズン
秋
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作者名:萌菜 | 作成日時:2017年3月21日 14時