検索窓
今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:24,826 hit

放課後デート 摂津万里 ページ5

…あ、あの気だるそうに歩く大きな後ろ姿は。




「万里くん!」




「あ?あー、監督ちゃんじゃん」




買い物の途中、学校帰りの万里くんを発見した。手に持つ薄っぺらいスクールバッグには、恐らく教科書はろくに入っていないと思われる。



「あれ…、こんな時間に下校?早くない?」




「あー、サボり。午後自習だったし」




「全く…!勉強は大丈夫なの?テストもうすぐなんでしょ?」



「ヨユーヨユー。5位以内とか楽勝だし」



「神様はなんて理不尽なの……」




その器用さが万里くんの良い所でもあって、悪い所でもある。私はため息をついてから、提案した。



「じゃあ、暇でしょ?買い物付き合ってよ」



「はぁ?いや俺はこれからゲーム…」



「どうせ至さんと後でやるでしょ、ほら早く」



「至さんが会社行ってる間にこっそり強化したい武器あるからだっつーの……わぁったよ、行けばいいんだろ」



結局、万里くんはいい子なのだ。私はつい嬉しくなって渋々承諾する万里くんを後ろからぐいぐい押すと、少しだけ怒られた。




「ったく……俺を好き勝手扱える女、監督ちゃんしかいねぇよ」




「…ん?何か言った?」




「っ、何でもねーよ。付き合ってやる代わりに今日の晩飯の選択権は俺な」




「え!せっかくさっき良いスパイスが手に入ったのに…」





頭を垂らす私に、万里くんが笑った。ほんっと頭の中カレーばっかだよな、監督ちゃん、と。




何だかんだ文句は多いし手のかかる子だけど、その中にある万里くんの優しさと無邪気さがみんな好きで、私も好きだ。

バックステージで 七尾太一 ※→←大事なお知らせ


ラッキーシーズン


目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (32 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
54人がお気に入り
設定タグ:A3! , 短編集
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:萌菜 | 作成日時:2017年3月21日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。