愛しています 2 (ページ4)

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平野さん親子は常連になっていていつの間にかあのお父さんの髪も切らせてもらえるようになった

「たくとがままは寝てるって言ってたの覚えてますか」

「…はい」

そのままがこの世にはもういないと気づかないふりをして笑うべきか

「いないんです、もう」

「ぁ…」

少し眉を上げてどうしました？と尋ねるお父さん

何度か思っていたけどすごく整っている顔をしてるんだこの人

「いないって…」

この人の辛い過去を思い出させていいのか

「病気で亡くなったんです

24歳で」

「すみません」

「謝ることじゃないですよ笑」

「違うんです

分かっていました

3ヶ月前に、市民病院で
平野さんたちを知っていました」

ハサミを動かしていてた手を止めた
何故私が泣きそうになってるんだ

「そうだと思ってました」

「え…」

「同じ長イスに座って泣いてた人

顔は見えなかったけど妻となんとなく雰囲気が似てて
ちょっとだけ印象に残ってて」

「わたしも平野さんのことは覚えてました

美容室に初めて髪を切りに来たときもすぐわかりました」

「たくとがままは寝てるっていうと

大抵の人はままはお寝坊さんだねとか言うんです

だけど貴方はなんとなくその意味を分かっている感じであのときの泣いてた人なんだなって確定しました」

「なるほど…

すごい偶然ですよね、こんな大きい土地でまた会うって」

「うん

世間は狭いです」

すごく優しく微笑んで言った平野さんを見てなんかほっとしてまたハサミを動かす

「どうでしょうか？」

「オッケーです」

「お疲れ様です

ではレジへお願いします」

「はい」

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