愛しています 2 (ページ3)

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あれから1ヶ月経って
葬儀とかやるべきことにいろいろ追われてあの親子の姿は消え去っていた

1ヶ月経ってもずーっと泣いてて、生活なんて崩壊してて、亡くなった彼氏のお母さんには「貴方よりわたしの方がずっと辛いのよ」なんて言われて。

そろそろちゃんとしようと思って自営業の美容室を再開店させた時だった

あの親子を見た

子供を見て優しく笑ってるお父さん
カッコいい服を着て楽しそうにお父さんに話しかけている息子くん

繋いだその手は切なくて、儚い

可哀想に。

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「いらっしゃいませ～」

見かけた数日後に来たお客さんはあの親子

気持ち悪いくらいに偶然が続く日々に驚く

「子供の髪を切って欲しくて」

「そうなんですね！
ではこちらへどうぞ」

笑顔が引きつってるような顔の感覚
笑えてるかな、ちゃんと。

「どのくらいにしますか？」

「整えるだけで大丈夫です」

「わかりました」

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「お名前は？」

「たくと」

「カッコいいね」

「あしたは3歳になるんだよ」

「へえ！おめでとう！」

明るい子。
きっとお母さんもお父さんもすごく素敵な人なんだろう。

髪を切ってると口を開いたたくとくん

「ママがね～、寝てるの」

「そうなんだ」

微笑んだけど歪。

「パパはね、今は寝させてあげるんだって。

でもね
たくとは早く会いたいの」

「会えるといいね、早く！」

「うん！」

「できましたよ～」

「お！ええやん！」

待合室で座っていた彼はカッコええカッコええって言いながら子供にグーサインをする

一見幸せそうなこの親子に
誰が不幸だと蔑むのだろう。

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