Girl 42 ページ44
それから数ヶ月が経ち12月に入った。
街はすっかりクリスマスモードとなっている。
廉と叶愛ちゃんは今でも付き合っていて私たちの
学年からは公認カップルとされている。
廉に彼女が出来てから私たちは会話をすることも無くなってきた。
当然、廉が一緒に帰れる日は並んで歩いていた廉の隣も今ではすっかり叶愛ちゃんのポジション。
私は1人で通学路を歩きながら廉と帰っていた日が
懐かしいとすら思うようになっていた。
廉は家に帰ってきても疲れているのかすぐにお風呂に入り、私が作った夜ご飯も次の日の朝に食べているみたい。
だから、私は廉のお弁当だけでなく朝ごはんまでも作らなくなった。
一緒に住んでいる意味はあるのか。
誰かにそう聞かれたら自信を持って頷くことは
出来るはずがないこの状況。
最近では少し高めの声で A と呼ばれることも無くなった。
目が合ってもすぐに逸らされてしまう。
廉にとって私がどんなにお荷物だったか。
叶愛ちゃんという子が現れて痛いほど分かった。
もしかしたら 紫耀ちゃんも同じだったのかもしれない。
本当は 早くあの家から出たかったのかもしれない。
それでも 2人は ずっと私のことを守ってくれていた。
たとえ上辺だけの行動でも。
私はそれで充分(じゅうぶん)だから。
2人がいなかったらと考えるだけで震えてしまうほど
私は助けてもらった。
2人が幸せだったらそれでいい。
なのに紫耀ちゃんと廉が隣にいないことで出来た
心の空白は いつまでたっても埋まらない。
だったら私も彼氏くらい作ればいい。
でもそんなこと出来るわけないことを自分が1番
知っているから。
毎日 毎日 寂しくなる時に頭に浮かぶのは
紫耀ちゃんだけだから。
紫耀ちゃんは会いたい時に会える幼馴染みなんかじゃない。
私とは住む世界が違うのも分かってる。
たとえ、紫耀ちゃんに好きな人が出来ていたとしても私の想いは変わらない。
.
.
私達は皆、それぞれが知っている3人じゃ無くなってしまったんだ。
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作者名：もちみいる | 作成日時：2017年8月6日 3時
