Girl 29 ページ31
紫耀side
夏祭りに行く少し前 俺の机の引き出しに
東京の家の合鍵と住所を入れておいた。
それはAの気持ちを聞く前。
なのにも関わらず俺が入れた意味は
俺がAに会いたかったから。
近くに居てもあんなに不安だったのに
逢えないとなるといつか必ずAを迎えに行って
しまいそうで。
彼奴は廉のことが好きだと思っていたから俺は
" 俺が必要な時だけ " なんて言ったのに。
Aが俺を好きだと言ったその瞬間
きっと俺はAにとって狡い男になって
しまったんだろう。
期待させておいて付き合えない。
鍵を渡しておいて必要な時だけ。
Aの気持ちを知った今 彼奴が俺に会いに来る時
それはまだ俺の事を好きだという事になるんやろう
こんな形でしかお前の気持ちを確かめることが
できない俺をどうか許して欲しい。
飛行機に乗ってる間 色んな事を思い出す。
母親とお婆さんが亡くなって一人ぼっちになって
しまったA。
まだ幼かったあの頃の彼奴には一人ぼっちという
負担は大きすぎた。
あんなに大好きだった雪も一瞬にして拒絶反応に
変わったんだ。
小 中学校ではまともな友達が誰1人出来なかった
彼奴。
それでもAは 寂しい とは言わなかった。
彼奴の本音を聞き出せなかった俺らは
きっとAの事を守ることなんて出来てなかった。
そして高校の合格発表
Aからの電話は 東京の事を伝えられた直後だった。
それは俺ら3人が待ち望んでいたはずの結果なのに
嬉しいような嬉しくないような気持ちになってる俺
がいて。
今は行かなくても 卒業式を迎える前には
行かなければいけない事を知っていた俺は
3人と一緒に居ればいるほど別れをするのが辛くなる
そう思って 仕事がない日なのに学校へ行かないこと
も多かった。
だから ちゃんとした高校の思い出なんてない。
でもAのことは嫌っていうほど覚えている。
怖くて寝れない時の彼奴の瞳。
髪の毛を乾かして欲しくて俺に甘えてくる時の声。
たまに作るあいつの料理の中に入っている不格好な
野菜。
でも今 一番 忘れられないのは
.
.
.
.
.
俺の事を好きだと言ったAを抱きしめていた
腕を離した時の彼奴の顔なんだ。
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作者名:もちみいる | 作成日時:2017年8月6日 3時