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何が何だか分からないままに始まった撮影。
冷と彰のあの何とも言えない距離感、
再現したいのにどうしても目を合わせるのに躊躇してしまう。
その度にかかるカット。
『水沢ちゃん大丈夫?』
心配して監督も声をかけてくれるけれど、いつそれが罵倒に変わるかなんて分からない。
私情を仕事に持ち込むなんてもっての外。
そう頭では分かっているのに、目を合わせようとする度にあの雨の日がフラッシュバックする。
…君はなにも思わないの?
そう、問いかけたくなる。
.
『カット!!』
『水沢ちゃん…そろそろ僕でも庇えないよ』
ある日、とうとう険しい顔で言われた。
当たり前だ。
主演という立場を貰っているのに。
「…すみません」
だから私は謝るしかなかった。
現場の隅の方で椅子に座って顔を埋める。
自分の不甲斐なさと情けなさに思わず涙が溢れるのを感じた。
なんでこうなるの。
前回はもっとやる気に満ちていたはずなのに、
私はこんなにも無気力な女優だった?
今の私には覇気がない。
そう自分でも感じる。
酒井さんだって言葉に出さないだけできっと呆れているだろう。
そっと流れる涙を拭うと、
「…Aさん」
後ろに美波ちゃんが立っていた。
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舞(プロフ) - 月さん» コメントありがとうございます!!きゅんきゅんだなんて恐縮です…笑 平野くんと主人公ちゃんは最終的にくっつきましたがいかがでしたでしょうか…楽しんでいただけていると幸いです!まだ番外編を書く予定ですのでぜひ読んでくださると嬉しいです! (2021年1月29日 23時) (レス) id: 0912b5ffef (このIDを非表示/違反報告)
月(プロフ) - 舞さんはじめまして。きゅんきゅんしながら読ませてもらってます!平野くんと主人公ちゃんがくっついてくれることを願ってます。笑これからも更新頑張ってくださいね! (2021年1月11日 11時) (レス) id: 11039f4f3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:舞 | 作成日時:2020年12月2日 20時