検索窓
今日:2 hit、昨日:4 hit、合計:132,148 hit

92 ページ43

どうしようもない感情が胸に込み上げる。

彼は、何かをこらえるように唇を噛み締めた。
その隙間から、食いしばるような声が漏れる。

「……俺は、今更、」

その続きが発せられることはなかった。

「………A!!!!!!」

廊下の向こうから、悲痛な声を上げて酒井さんが走ってきたから。
酒井さんはそのまま、私をひしと抱きしめた。

「…どれだけ心配したと思って、」

微かに涙の混じるその声を聞いて、私の瞳からも涙が溢れてくる。

「ごめんなさい、」

…幸せ者だな、私。
こんなにも心配してくれる人がいて____

「本当に、本当にありがとうね、平野くん」

私を離して、酒井さんは深々と頭を下げた。

「すぐに探すって言ってくれなかったら、私おろおろするばかりで何もできなかったわ」

…そんなことを、
思わず彼の顔を見つめる。

そういえば彼は、息を切らして駆けつけてくれたっけ。
もしかして、必死に探してくれていたのだろうか。

「…そんな大したことじゃないですよ」

「大切な人が危険に遭ってるんだから当たり前でしょう?」

"大切な人"、
決して私を見ずに言う彼の真意が掴めない。

私はその一言にこんなにも心を乱されてるのに、

「じゃ、気をつけて」

「…ええ、平野くんも気をつけて」

やはり彼は、最後まで私を見なかった。

93→←91



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (162 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
447人がお気に入り
設定タグ:King&Prince , 平野紫耀
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

(プロフ) - 友梨さん» 初めまして、コメントありがとうございます!面白いと言っていただけて嬉しいです…!まだお話は続きますので、ぜひ楽しみに読んでいただけるとありがたいです。 (2020年10月18日 0時) (レス) id: 9c2773f025 (このIDを非表示/違反報告)
友梨(プロフ) - はじめまして。いつも楽しく拝読させて頂いてます!舞さんの作品とても面白くて何度も読み返してます!いつも応援しています!頑張ってください!!! (2020年10月17日 18時) (レス) id: 5a310d6604 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - じくねこさん» またコメントありがとうございます!嬉しいです!これからも楽しんで読んでいただけるように頑張りますね…! (2020年9月12日 1時) (レス) id: 9c2773f025 (このIDを非表示/違反報告)
じくねこ - 更新ありがとございます続き楽しみ (2020年9月11日 23時) (レス) id: 1083519e52 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - じくねこさん» こちらこそ読んでいただいてありがとうございます!作者のモチベーションアップに繋がります( ;∀;)今日も更新するのでぜひ楽しみにしていてください…! (2020年9月7日 17時) (レス) id: 9c2773f025 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2020年8月23日 10時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。