Gittering World (ページ44)

今日:10 hit、昨日:19 hit、合計:172,954 hit

43 ページ44

「ありがとう、平野っち」

警察の人に事情を話して解放されてから、その帰り道。

ただ黙って歩いている彼にお礼を言った。

あそこで警察を呼んでくれてなかったら私は色んな人から袋叩きに遭ってたかもしれないし、秋菜に再び操られるようになっていたのかもしれない。
どちらにしろ良い未来はなかった。

「…謝りたいのは、俺の方だよ」

ようやく言葉を発したかと思えばそんなことを言う彼。

「どういうこと、」

問いかければ、悲しげに私を見つめる。

「俺の恐れてたことが起きちゃったってこと」

“本当に俺らのファンでいてくれてるなら、何でこんなことするんだろって思って”

その言葉が蘇る。

「…さっきのことは、忘れて」

そう呟いた。

「私をめちゃくちゃにした人だから」

何か悪いことをして捕まりでもしたらいいんだ、そう思ってたけど。

そこに自分が関わりたいとは思ってなかったよ。

「俺のファンだって言ってたよね、ごめん」

突然頭を深く下げる。

「平野っちは悪くない、」

ぜーんぶあの時の私のせいだよ。

もっと早く秋菜から離れておけばよかったんだから。

「むしろ助けてくれたんだから恩人だよ」

そう笑いながら言うと、彼は顔を歪めた。

「…そうやって、誰も責めないで過ごしてきてたの？」

え？