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ああ、この子の隣にいちゃいけない。
そう悟った。
だから秋菜にくっついて回るのを辞めて、一人でいることを選んだ。
でもこいつは私をそうやすやすと逃してはくれない。
『最近なんで秋菜のこと避けるのかなぁ?』
Aちゃん来て、と半ば強引に連れてこられた空き教室。
中に入って開口一番、秋菜はにこやかな笑顔でそう言った。
『…秋菜のこと、信じられなくなったから』
馬鹿正直に答える私も私だけどさ、
『…どうして?なんでAちゃんが自分の意思で動いてるの?』
『Aちゃんは秋菜の思い通りになって虐められればいいんだよ、そうでしょ?』
天使のような笑み。
でも口にしていることは悪魔のようなこと。
これが秋菜の本性だった。
『私は私だよ、秋菜のものじゃないんだよ』
内心怯えていた。
笑顔のままで真っ黒なことを口にできる秋菜が怖かった。
『…は、知らないよ』
不意に笑顔が消えた。
スイッチが入ったかのように目が虚になる。
笑わない秋菜は空っぽだった。
『いっつも私のご機嫌伺ってさ。弱いふりしてれば何でも許されるって思ってんの?信じらんない』
『気持ち悪い、消えてよ、死んでよ』
途端に激しくなる暴言。
心臓が刺されるようなって、こんな感覚なんだ。
ぼんやりと思った。
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作者名:舞 x他1人 | 作成日時:2020年8月11日 0時