Gittering World (ページ37)

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こいつのせいで、私の中学時代はボロボロだった。

あんな世界にいるくらいなら、

そう思って必死に逃げ出して。

あの教室は、欲望と憎悪に塗れていた。

.

中学2年生、人間的にも難しい年頃。

クラスで自分の立ち位置を失わないために、
見えないカーストから転げ落ちないために、
誰もが情けないくらい足掻いていた。

今となってはそう言えるけど。

『秋菜』

あの頃の私もそんな人間だった。

クラスでカーストトップにいた陽キャ女子、秋菜に引っ付きまわる腰巾着。

私の評価はそんなもんだった。

『Aちゃんは、秋菜の友達だもんねぇ？』

今思えば吐き気しかしない間延びした話し方。

典型的なぶりっ子だったのだ。

ぶりっ子は嫌われるって言うけど、秋菜みたいに世渡り上手なやつは例外。
好かれてはいなかったかもしれないけど、いつも中心にいるのは秋菜だった。

『秋菜、私この服着ていこうと思うんだけどどう思う…？』

秋菜に心酔すらしていた私。

こいつの持つ毒針に全く気づけなかった。

そのニコニコ笑顔でいとも簡単に人を突き落とせる人間。

『ううん、Aちゃんにそれは似合ってないよ～、これにしたらぁ？』

指差された心底悪趣味な服。

でも秋菜はセンスの良い子で、私に理解できないオシャレな服もたくさん持っていた。

今回もそうなんだろう、私がそのファッションセンスについていけてないだけって信じて疑わなかった。

だから私はそれを着ていったんだ。

クラスの集まりに。