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撮影終わり。
「水ちゃんご飯行こー」
ニコニコ笑顔で誘ってくる平野っち。
『仲良いじゃんお二人さん〜』
ニヤニヤして冷やかしてくる監督さん。
「仲良いですよ僕たち、これからもこんな感じで頑張ります」
おい何ペラペラ嘘喋ってんだ。
もう否定しても無駄な気がする。
「楽しんでください、Aさん」
「うんもう開き直って楽しむ、ありがとね美波ちゃん」
もう肯定も否定もしないスタイルでいこう。
面倒くさい！！
______
例のお店を出てから、
「…水ちゃんは、ファンの人のことどう思ってる？」
2人で人気の少ない夜道を歩く。
どう思ってる、か。
「私はファンの人の方が少ないんだけどね、」
自分で言いながら悲しくなる。
「ずっと感謝を忘れずにいたいかな」
「感謝？」
「そう。こんな私のことを応援してくれる優しい人たちだから」
謙虚に振る舞ってるわけじゃない。
本当に、そう思ってる。
売れないって言われてても、ブスだって言われてても、私のことが好きだって言ってくれて。
普通はできないよ。
人は、強い方を応援したくなる生き物だから。
「平野っちは？」
彼こそ、ファンの人のことは大切に思っているはず。
「…俺もずっと感謝してる、してるけど」
なんだかもどかしそうな表情をする。
「時々、本当に俺らのファンなのかって思う時があるんだ」
「みんなは、どういうつもりで俺たちを応援してるんだろ…って」
その言葉には虚しさが漂っていた。
「本当に俺らのファンでいてくれてるならなんでこんなことするんだろ、とか思っちゃって自分のことが嫌いになるんだよ」
彼らのファンと呼ばれる人の一部が以前やらかしたと聞いたことはあったけど、それについて本人たちがどう思っているのかは初めて聞いた。
「このままだと本当に、」
___嫌いになってしまうかもしれない。
彼は、微かな声で呟いた。
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作者名：舞 x他1人 | 作成日時：2020年8月11日 0時
