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『カット!』

監督さんの声と同時に、肩から力が抜ける。

「Aさん、すごかったです…!」

美波ちゃんがキラキラ目を輝かせながら駆け寄ってきた。

「ありがと美波ちゃん…でも美波ちゃん本当に入り込むの上手くて尊敬する」

本人は人見知りっていうけど、陽音は正反対なキャラクターだ。

自分をあんなにも変えることができるなんてね。

「ありがとうございます」

本当にいい子だよぉ…

「水ちゃん浜辺さん飲み物どうぞー」

平野っちが向こうからお茶を持ってきてくれた。

気が利くんだな優しいなあ。

「えーっと水ちゃんすごかったよ」

「感想適当すぎか」

「…ふっ」

美波ちゃんが吹き出した。

「え、何で笑ったの…?あ、呼ばれたから俺いくね」

不思議そうな顔をしたかと思えば嵐のような勢いで去った平野っち。

未だに笑っている美波ちゃん。

「大丈夫?何がおかしかったの?」

私も半分笑いながら聞くと、

「会話がコントみたいっていうか息ぴったりで面白くって」

息ぴったり…

「最近初めて会ったばかりなのにね」

するときょとんとする美波ちゃん。

「お付き合いされてないんですか?」

…へ?

「…私と?平野っちが?」

「…はい…てっきりそうだと思ってました」

「冗談はダメだよ美波ちゃん、全くそんなんじゃないからただのお友達だから」

マシンガンのごとく否定した私に若干引いてる美波ちゃんだけど、本当にこれはありえない。

「でもお二人すごくお似合いなので」

顔が引きつるのが自覚できた。

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作者名: x他1人 | 作成日時:2020年8月11日 0時

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