Gittering World (ページ10)

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「…もしもし、」

自分の声があまりにも弱々しいことに驚く。

『もしもしA？コメント見たよ、映画決まったんだってね。おめでとう』

美桜の優しい声に涙が溢れそうになった。

「ありがとう」

誰かが祝ってくれることが素直に嬉しい。
私には芸能界の友達が数えるほどしかいないからね。

『どうしたの、何かあった？』

「…エゴサしちゃってさ」

みんなが私のことをよく思ってるはずがないし、いくら人を叩くのを辞めてほしくたってそう簡単になくなるはずがないのも分かってる。
それなのにわざわざ傷つきに行く方がおかしいんだよ、自覚してる。

『誰だって叩かれるよ、特に相手がジャニーズだとね。私もそうだったもん』

その言葉で、美桜が平野紫耀と共演していたことを思い出す。

『見せつけたらいいんだよ、まだAのことよく知らない人達に』

『だから、映画頑張って。Aなら絶対素敵な演技できるから、私がそのことよく知ってるから』

…なんで私の周りはこんなに優しい人ばっかりなんだろうね。

「…ありがと、私頑張るから。絶対に、」

『うん、Aならそう言うって思ってたよ、私は応援してる』

そして電話は切れた。

美桜と話したことで、再び力が湧いてくるのが分かる。

…私のことを良く思わない人もいる、でも私を応援してくれている人もいる。

なら、その人たちのために頑張らないといけない、

そう決意した。