〈閑話休題〉 magic shop ページ1
.
____｢まず1人目は、バンユトフロヒという隣町に住んでいる。あいつは中々手強い。でも仲間になれば頼りになるし、あいつ自体かなり強い｣____
そう言ってソルトに渡された地図を頼りに、バンユト…なんたらという町を目指して道沿いを歩いているんだけど…。
先程までは街並みがあって、人の賑わいもあったのに少し門をくぐっただけで辺りはずっと平地が続いてる。本当にこんな所に例の人は住んでいるんだろうか。
それにしても、ソルトは何者なんだろう。何故、彼らの居場所が分かるんだろう。どういう風の吹き回しかは分からないが、ソルトが言うには確たる情報らしいからソルトの言う通りに向かっては見るが。
｢あ、そこのお兄さん！！｣
『え、はい！！』
通りすがりの人に声をかけられ、ばっと振り返るとおじいちゃんに手招きをされていた。
『どうされましたか…？』
｢この先はあまり行かない方がいいよ。治安が悪いからね｣
『えっ、この先に町あるんですか？』
｢そりゃあるさ。前まではかなり発展してて、ここの辺りも住宅街が沢山あったのに、最近になって、騙されて土地を売ってしまった人が急増してね。あっという間にもぬけの殻。町も騙したヤツらが牛耳って、そこに住んでるのはイカれたやつらしかいないよ｣
『そう、なんですか…』
おじいちゃんは俺を危ないと止めているようだ。でも、この先に7人のうちの1人がいるって…。もしかしてその7人ってやばい人らなんじゃ！？
俺、いけないところに足突っ込んだかも…。いや、ダメダメ。不安抱えたらヒョンたちのこと忘れてしまう。
『ご心配ありがとうございます。でも俺はこの先を行かないといけないので』
｢本当に大丈夫かい…？まぁ、喧嘩だけは売るなよ。あまりうるさくしすぎると上のやつが食っちまうからな｣
『はい』
頭を下げるとおじいちゃんは優しく俺の頭を撫でた後、去っていってしまった。
本当に大丈夫だろうか、と今更また不安を抱え始めてきたが、引き受けたものは仕方がない。ゆっくりと1歩をかみ締めて歩き出した。
おじいちゃんの言う通り、確かに道沿いをずっと歩いていくと町が見えた。この町もヨーロッパのような街並みでおしゃれではあるんだけど、近くなればなるほど騒音やタバコの匂い、お酒の匂いがきつくなっていく。
これほどまでにこの街は荒れているのか。
背を縮こまらせながら町の中心へと続く門を潜る。
｢おい、お前なにやってんの｣
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 532人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ピーナッツバター | 作成日時：2022年3月28日 0時
