仲 ページ30
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｢それにしても何であんなイライラしてたの？｣
『あぁ…』
ミンギュが顔が好きだと言って、俺から携帯を取り上げてソファの上でAくんの写真をニヤニヤしながら眺めていた。
ジュンフィはその隣でミンギュとAくんの写真を交互に見ていた。
俺とハニはコーヒーを飲みながらゆっくり話す。
『あの子、記憶障害だって言ったじゃん？…そのせいで、数週間前からずっと会ってたはずなのにその分の記憶全部無くしちゃってさ、誰か分からないみたい。せっかく仲良くなって、心開いてくれてたのに。もう心の扉は開きそうにない』
｢……そっか。でも物と俺らには当たるなよ。あの時、シュアにコーヒーかけられるかもってビクビクしてたんだからな｣
『そんな事しないよ。それするのハニだけ』
｢は？｣
リビングに平穏な空気が戻ってきて、俺とハニの最悪な事態も免れた。
仲直りのように俺の恋バナを話しているとジュンフィが独り言のように呟いた。
｢ジスヒョンのこと、覚えてないんだっけ｣
『そうだよ。漸く連絡先もゲットしたけど、使っても変な目で見られるだけ』
｢じゃあ、もう会わなくてもいいんですか？｣
『え？』
ジュンフィはゆっくり振り返って、真実を求めるような目を俺に向けた。
｢もう会わないし、話さない。病院にも近づかないし、カフェにも行かない。それでいいんですか？｣
『何を言って…』
｢さっきからジスヒョンから失恋しましたオーラみたいなの出てたけど｣
ミンギュも振り返ってジュンフィに参戦するように言う。
『まぁ…もう会えそうにないし』
俯きざまにそう言う。
｢ジスヒョンは失恋したんですか？その子の口からもう会いたくないとか来ないでとか言われたんですか？｣
『言われてないけど…』
｢じゃあなんで今日は会いにいかなかったんですか？｣
『それは…昨日あの子に悪いことしちゃったから』
｢謝ればいい話じゃないですか。謝っても許さない子なの？｣
『…違う』
｢そうなんですよね？だったら毎日会いに行ってまた顔を覚えてもらえばいいじゃないですか。何勝手に諦めてるんですか。そんなの、一番可哀想なのはジスヒョンじゃなくてその子ですよ。好きな気持ちも知らされず、勝手に振ったみたいにされて、諦められるとか散々すぎます｣
ジュンフィは眠そうな目をしながらもゆっくり、自分の意見をしっかりと俺に話す。
的を射抜かれたように俺の心はジュンフィの言葉でドクンっと大きく跳ねた。
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作者名：ピーナッツバター | 作成日時：2021年8月2日 2時
