災 ページ17
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今日は前の時と同様早く起きた。
案の定、クプスにバレたし、驚かれた。
｢なんでまた急に早く起き出したの？｣
『前のルーティンをもう一度やりたくなって』
｢ふーん…｣
早く起きたと言っても、暫く遅めだったから直ぐに戻せるわけじゃない。
今は7時40分で急いでいかないと間に合わない気がする。
服をクローゼットから引っ張り出して、彼と俺が最初に出会った時の服に着替えた。
会えると決まったわけじゃないけど、何かは変わってるはず。
僅かな望みをかけて、宿舎を飛び出る。
ここからそう遠くは無いので、若干早歩きで行く。
サセンにも警戒しつつ、ひたすら彼の姿を頭に浮かべながら歩く。
息が上がりながらも珈琲屋へ少しずつ近づく。
刹那、隣から彼の匂いが少しした。
パッと振り返るも周りには歩く人々ばかり。
流石にここにはいるはずが無いか…。
前を向き直して、気持ちを切り替えてから静かに入店する。
｢！いらっしゃい！｣
『お久しぶりです』
久しぶりのカウンターに腰掛け、珈琲を一杯頼む。
隣に居る常連さんがやけにソワソワしていてもどかしい。
店主も俺を気にかけるように何度もチラチラと見てくる。
何処か微妙な雰囲気が流れる店内。
｢…実は……これを…｣
珈琲と共に店主は謎の紙をさっと渡した。
その紙を開くと、
"これまでごめんなさい。もしよろしければまたお話したいです"という言葉と共に住所、そして電話番号まで書かれていた。
『これって…』
｢君が来る数分前に本人が来てたよ。珈琲一杯飲んで帰っちゃったけど、座ってたのも君が今居るところ｣
まさかAくんが来てたなんて。
そして、この手紙。
俺が予想していたより、事態は急激に変わっていたようだ。
何ともないような顔をしているけれど、内心、心臓がバクバクして、ガッツポーズをしたいくらい。
やっぱり諦めないでよかった。
俺とAくんの架け橋はこの1枚の手紙だったみたいだ。
上がりそうになる口角を抑えて、平然を装う。
｢まさか今日、君とAくん2人も来てくれるなんて｣
『俺ももう少し早く来れば良かったかもですね』
｢そうだな！もう少し早く来ればあの子に会えたのに！｣
本当にこの空間は楽しい。
｢試しに今電話してみれば？まだ家に着いてないかもしれないよ｣
『あぁ…』
携帯に目線を落として、手紙の電話番号をそっと撫でる。
電話番号を入力していくと、店外から強い衝撃音がなった。
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作者名：ピーナッツバター | 作成日時：2021年8月2日 2時
