年下わんこは待てが出来ない！ (ページ32)

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「俺さ、Aのこと、好きやねん」

そう道枝くんに言われた、大学2年生の終わり際。

道枝くんは、なにわ男子がデビューしたての高校三年生。

アイドルとしての大切な時期に、唐突に言われたのだ。

「え…」

驚きのあまり、言葉が全然出なくて……。

昔からの幼馴染やから、男として見れないとか
アイドルなのに、この告白にオッケーしていいのか
そもそもわたしは、駿佑のこと好きなんだろうか？

……いや。1人の男として、好きじゃ、ない…

そんな考えが、頭の中をぐるぐると回っていたと思う。それくらい、パニックで。

当の本人は、私に真剣な眼差しを向けていたと思う。
なんの偽りもないような、優しい瞳。

この姿を昔から見てきたからこそ、合格したとき喜べたし、応援できた。デビューに涙をこぼした。

「……ごめん、わたし、駿佑を男として見れない…」

そう告白を断ったわたし…。

けれど、この先あんなことになるなんて

当時のわたしは知らなかった。

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