43.〈最終話〉 ページ43
.
そのまま連れて行かれたのは空港で、夜なのにそれなりに人がいて驚いた。
肩から冴くんのジャケットを掛けられて、ついでに帽子を被せられる。冴くんも帽子にマスクで変装した。
ばあやさんに見送られて検査を通り、足早に飛行機の搭乗口へと向かう。その間もずっと手は握られたままだ。
乗り込む直前、振り向いて立ち止まる。
「…おい」
「うん。…行こう」
次にここへ帰って来るのはいつになるだろう。分からないけれど、でも暫くは帰って来ないのだろうと思う。
パパ、ママ、ごめんなさい。でも無理なの。そこにいたら私は、2人にゆっくりと首を絞められるように殺されてしまう。
緩やかな死はきっと恐ろしいものでは無いと思う。でもそれに気付いてされるがままにはなれない。
2人のことが大好きでした。
「さよなら」
小さく呟いて、飛行機の中に足を踏み入れた。
*
ロミオとジュリエットは幸せだったのかな。
答えなんて分からない。でも私はジュリエットじゃない。悲劇の恋情の末に自死を選んだお嬢様じゃない。
私はジュリエットよりシンデレラになりたい。どんなに苦しくても生き続けて、最後には王子様に連れ出してもらえたシンデレラに。
あなたと私は、ロミオとシンデレラ。
fin.
168人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
瑠璃烏(プロフ) - エリザベス女王さん» そんな風に言って頂けて嬉しいです!玲王は考察の余地を残そうと思って最後まではっきりとしたことは敢えて書いてないので、ご自由にご想像頂ければと思います😌見て頂きありがとうございました! (4月7日 14時) (レス) id: 8bc81fca4f (このIDを非表示/違反報告)
エリザベス女王(プロフ) - どんな気持ちで助けていたのか、、、考えても考えてもまとまりません!冴くんがただひたすらにかっこよくてずっと三途の川を泳いでました!本当に最高でした!!ありがとうございました😭 (4月7日 11時) (レス) id: 2cb2cc3e09 (このIDを非表示/違反報告)
エリザベス女王(プロフ) - 最高でした、、、‼︎主様の前作を読んでそこのリンクから飛んだのですが安定の最高さでした❤️駆け落ち系の話を見たことがなくて不安だったのですが初めてがこんな素晴らしい作品だだだ私は明日やらでも降るのかもしれません笑玲王くんはいったい (4月7日 11時) (レス) @page44 id: 2cb2cc3e09 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃烏(プロフ) - ニアさん» コメントありがとうございます!素敵な考察までして頂けて嬉しいです!2人とも本当にいいキャラですよね! (4月2日 12時) (レス) @page43 id: 8bc81fca4f (このIDを非表示/違反報告)
ニア - この作品を読んでから2人をめっちゃ好きになりました!最後の切ない感じが最高でした…御影くん実は夢主ちゃんのこと好きだったんじゃないか…だから微笑んだんじゃないかとか色々考えていたら切なさときゅんきゅんが止まりません…ありがとうございました!! (4月2日 10時) (レス) id: b8d76587d9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:瑠璃烏 | 作成日時:2024年3月6日 11時