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「御影くん」


「九條!久し、ぶ…り……」


「よいしょ、っと…久しぶり」



空港のロビー、両親に支えられながらソファから立ち上がり、松葉杖を使いながらゆっくり一歩ずつ歩を進める。それを見て御影くんは目を見開いていた。



「九條、それ…」


「お疲れさま。あのね、最近練習してるの」


「マジかよ」


「まだ松葉杖ないと危ないんだけどね」


「それでも凄えじゃん!やばい、マジでびっくりした」



御影くんは両親よりもよほど喜んでくれる。ぽんぽん、と頭を撫でられて微笑んだ。こんな風に努力を認めてくれる人を、私は欲していたのかも。

御影くんはお家の都合で一時的に帰ってきただけで、またすぐに海の向こうへ戻ってしまう。私と一緒にパーティーに出席するためだけに戻ってきてくれたのだ。

両親が御影くんと話しているのを聞き流しながら、窓の向こうにある飛行機を見つめる。

あの人も日本に来てくれたら、見せられたのにな。

そんなことを考えても仕方ないからと目を逸らし、御影くんと一緒にゆっくり歩いて駐車場へ向かった。



「じゃあ、また明日の夜に」


「うん。またね」



お家のリムジンに乗り込んだ御影くんに手を振ると、運転席にいたばあやさんに頭を下げられたので私も同じように返す。

走り去って行く車を見送って母は笑う。



「喜んでくれてよかったわね、A」


「うん」



本当に見て欲しい人にはまだ見てもらえていないけれど、それでも褒めてもらえたのは素直に嬉しかった。

ふう、と息を吐くと父は心配そうに私の肩を抱く。



「疲れたならパパが運んであげようか」


「ううん、大丈夫。もう車、すぐそこでしょ?」


「そうだけど……、よし。ここまで車を持ってこさせるから待っていなさい」


「いいのに。ありがとう、パパ」


「Aに無理はさせられないよ」



そっと頭を撫でた手が離れて、父はスマホを取り出すと運転手に電話をかけた。



「A、本当に大丈夫?」


「うん。そんなに心配しないで、大丈夫だから」


「…ええ、そうね」



微笑む母の顔に浮かぶ寂しさと不安を見ないふりして、ニッと笑って見せた。



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瑠璃烏(プロフ) - エリザベス女王さん» そんな風に言って頂けて嬉しいです!玲王は考察の余地を残そうと思って最後まではっきりとしたことは敢えて書いてないので、ご自由にご想像頂ければと思います😌見て頂きありがとうございました! (4月7日 14時) (レス) id: 8bc81fca4f (このIDを非表示/違反報告)
エリザベス女王(プロフ) - どんな気持ちで助けていたのか、、、考えても考えてもまとまりません!冴くんがただひたすらにかっこよくてずっと三途の川を泳いでました!本当に最高でした!!ありがとうございました😭 (4月7日 11時) (レス) id: 2cb2cc3e09 (このIDを非表示/違反報告)
エリザベス女王(プロフ) - 最高でした、、、‼︎主様の前作を読んでそこのリンクから飛んだのですが安定の最高さでした❤️駆け落ち系の話を見たことがなくて不安だったのですが初めてがこんな素晴らしい作品だだだ私は明日やらでも降るのかもしれません笑玲王くんはいったい (4月7日 11時) (レス) @page44 id: 2cb2cc3e09 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃烏(プロフ) - ニアさん» コメントありがとうございます!素敵な考察までして頂けて嬉しいです!2人とも本当にいいキャラですよね! (4月2日 12時) (レス) @page43 id: 8bc81fca4f (このIDを非表示/違反報告)
ニア - この作品を読んでから2人をめっちゃ好きになりました!最後の切ない感じが最高でした…御影くん実は夢主ちゃんのこと好きだったんじゃないか…だから微笑んだんじゃないかとか色々考えていたら切なさときゅんきゅんが止まりません…ありがとうございました!! (4月2日 10時) (レス) id: b8d76587d9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:瑠璃烏 | 作成日時:2024年3月6日 11時

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